私たちの身体の不思議

私たちが生まれるまで 2)卵子、精子の発生と成熟 ―体細胞分裂と減数分裂―

卵巣での卵子の成熟・排卵

図4

卵子はろ胞の発達とともに成熟し、やがて卵巣の表面から排卵します。排卵した後に黄体ができます。排卵は卵巣の表面から生じます。

卵管から排卵するのではありませんよ!卵管は受精卵が子宮に着床するための道筋です、言い換えれば卵管は受精卵ができなければ全く用をなさないのです。生殖のためにだけある「管」です

図5 ヒトの卵巣内の卵子(ミクロ)

ろ胞を含めた卵子がいかに大きく成熟するか、解るでしょう?
数10倍にもなります

受精卵は図6のように卵管を通って、子宮内膜に着床する

図6
図7 受精卵が着床する子宮内膜(ミクロ)

着床する準備として子宮内膜が厚くなっている必要がある
(子宮内膜分泌期)

精巣と精子の発達

図8

成人の精巣は精細管によって満たされています
精細管の間には男性ホルモンを産生するライディク細胞が見られます
精細管の一番外側には最も未熟な精祖細胞が並んでおり、内側に向かうほど精細胞へ分化しています。
最も内側には精子が認められます。
われわれが独自に開発したモノクローナル抗体2G10は精子細胞にある先体(acrosome)を特異的に同定できます

細胞分裂 -体細胞と減数分裂-

最初にヒトの染色体の話を少しいたします。
ご承知のとおり、ヒトには22対、つまり44本の体染色体と1対の性染色体を通常持っています。
XX染色体を持つのが女性、XY有するのが男性ということになりますね。
Y染色体はXに較べると実に小さく頼りなげです。それに較べるとX染色体は立派で多くの遺伝子を含んでいます。
表現の仕方は、核型(46,XX)=44+XX(女性)、(46, XY )=44+XY(男性)です。

ここで、細胞増殖する時にどのように細胞が分裂し、その際、染色体はどのように分かれるかお話します。

図9

細胞の分裂には二通りあります。
1)体細胞分裂
体細胞とは配偶子、すなわち卵細胞、精細胞以外の細胞のことをいいます。
例を挙げると肝細胞、消化管の粘膜細胞上皮、神経、筋肉、骨、血液細胞など体を構成する殆どの細胞が体細胞です。
これらの細胞は細胞分裂をするときはDNAが2倍、つまり通常の細胞のDNAは2n(2倍体)と表現するので4nになります。そして分裂するのでそれぞれ分かれた細胞は2nのDNAを持つことになります。44→44x2→44と44(44個の染色体が2倍になって細胞が2つになり,2個になったそれぞれの細胞の染色体は44になります。

2)減数分裂
一方、配偶子(卵細胞や精細胞)は染色体が分かれる際に(相同)染色体が対合し、DNAが増えることなしに複製することなしに二回連続して細胞分裂(減数第一分裂、第二分裂)が起きます。

その有様は図10をご覧下さい。

図10

すなわち、
まず卵細胞は卵祖細胞までは体細胞分裂の様式を示し、一次卵細胞になると2回続けて減数分裂を行います。結果として、22+Xと22+Xとなるのです。
片方、精細胞は精子細胞になるまで続けて2回減数分裂が生じます。結果として2個の(22+X)の核型を持つ精子と2個の(22+Y)の核型を持つ精子ができます。
つまり、細胞は2個になるが染色体は片方だけになるということです。

そして、それらが受精すると(44,XX)の個体と(44,XY)の個体ができあがります。